Webサイトリニューアルの失敗を防ぐには

社内要望が原因で起きるWebリニューアルの失敗と、その防止策を紹介しています。

各部署の要望整理や優先順位付け、社内合意に悩むWebサイトリニューアル担当者向けです。

Webサイトリニューアルの失敗を防ぐには

Webサイトのリニューアルでは、社内からさまざまな要望が出てきます。ひとつずつ対応しているうちに、情報も優先事項も増えていきます。気づけば、誰もサイト全体をコントロールできない状態に。そして最後に、決裁者のひと言で、ここまで積み上げたものがひっくり返る。よくある失敗です。

今回はリニューアル担当になった田中さんの一日を通して失敗と、それを防ぐ対応策を考えていきましょう。

Webサイトリニューアルの失敗を防ぐには:目次

Webサイトリニューアル担当、田中さんの一日

朝10時、Web担当の田中さんが出社。制作会社から届いたトップページ初稿を確認します。

営業部からの要望

10時半、営業の山本課長がリニューアル推進室にやってきた。

山本課長
「トップ見たけど、事例もっと上に出せない? お客さん、結局そこ見るから」

田中さん
「今は会社のサービスを先に見せる構成なんです」

山本課長
「営業では実績聞かれるんだよ。事例が下だと使いにくい」

田中さん
「なるほど。今はサービス説明が先ですね。営業で使うなら、事例を上げた方がいいかもしれません」

田中さんは『現場の意見だし正しい。少し上げるくらいなら問題ない』と考え、制作会社へ相談します。

人事部からの要望

11時過ぎ、採用担当の佐藤さんからTeams。

佐藤さん
「社員紹介、トップから入れるようにしたいです。採用サイトっぽさも少し欲しくて」

田中さんは迷います。
「営業の事例を上げる話はもう出している。採用も重要。でも両方目立たせたら、どっちが主役なんだ?」

総務部からの要望

13時、総務の鈴木主任。

鈴木主任
「会社概要への入口、もう少し上に出せませんか?」

田中さん
「今、営業から事例を上げたいという要望が出ていて、採用からも社員紹介を目立たせたいと言われています」

鈴木主任
「でも会社の情報も重要ですよね。取引先は信用情報も見ますし」

田中さん
「確かにですが、全部上に持ってくるって、さすがに……」

ここで田中さんは、どの要望にも理由があり、もう個別対応では収まらないと感じます。

社長の要望

15時、社長確認。

社長
「全体的にごちゃっとしてない? もっとこう、シュッとしたやつがいいよね」

田中さん
「シュッと……ですか?」

社長
「そうそう。今のままだと、なんかダメじゃない?」

田中さん
「なんか。。……分かりました」

その瞬間、これまで積み上げてきた構想が全部宙に浮きます。

社内要望への対応に悩むWeb担当者

基準なきWebリニューアルが招く3つの失敗

各部署からの要望には、それぞれの立場から見た正しさがあります。Webリニューアルにおいて、事前に要望を採用する判断基準が共有されていない状態では、その場の意見や立場によって優先順位が変わり、何を採用し、何を見送るのか決められなくなります。

意思決定の失敗

判断基準が共有されていないと、各部署の要望を同じ土俵で比較できません。その結果、次のような問題が起こります。

  • 優先順位の崩壊
    部署ごとに重要だと考える情報が異なり、何をWebサイトで優先するのか決められなくなる。
  • 要望の競合
    営業、採用、総務など、各部署それぞれの要望が同時に成立しない場合がある。
  • 意思決定不能
    要望それぞれの、「採用」「見送り」の基準がないため、担当者だけでは判断できない。

設計の失敗

各部署の要望を個別に反映していくと、ページ単位では成立していても、Webサイト全体で見たときに構成や情報の見せ方に矛盾が生まれます。

  • 設計の破綻
    追加した情報や導線が積み重なり、当初想定していたページ構成や導線が崩れる。
  • 方向性の迷走
    要望が増えるたびに見せ方が変わり、Webサイトで何を伝えたいのかがわからなくなる。
  • 品質低下
    部分的な修正を重ねることで、レイアウトのバランスが崩れ、Webサイトの完成度が下がる。

進行の失敗

要望の追加や変更が続くと、そのたびに修正が発生し、制作スケジュールにも影響が出ます。

  • 手戻り
    一度決めた構成やデザインを修正することになり、すでに進めた作業をやり直す。
  • 再設計
    部分修正では対応できなくなり、ページ構成や導線そのものを見直す必要が出る。
  • 制作停滞
    確認と修正を繰り返すことで、次の工程へ進めなくなる。
  • ちゃぶ台返し
    終盤になって、それまでの方針や成果物そのものを見直すことになる。

Webリニューアル、社内要望が招く失敗の原因と対策

今回のケースでの失敗は、社内要望を判断する基準や優先順位、最終的な決定方法が事前に共有されていなかったことです。では、こうした失敗を防ぐためにどのような対策をとれるのか見ていきましょう。

目的と成果を明確にする

Webサイトを「何のためにリニューアルするのか」「その結果、何を実現したいのか」を明確にします。ここが曖昧なままだと、各部署から出てくる要望を評価する基準が持てません。要望が目的や成果につながるものかを評価できる状態にしておくことが重要です。

対象と優先順位を決める

Webサイトは「誰に向けて情報を届けるのか」を明確にします。対象が複数ある場合は、それぞれの優先順位も決めます。対象と優先順位が決まれば、営業・採用・総務などから要望が出たときも、どの情報を優先して掲載するか判断できます。

判断基準となるコンセプトをつくる

目的や対象をもとに、リニューアルを進めるうえでの判断基準となる軸をつくります。つまり、コンセプトです。社内から新しい要望が出たときも、そのコンセプトに沿っているかを評価することで、個人の感覚や部署ごとの都合に依存することなく、共通の基準で採否を決めれます。

合意の設計をする

コンセプトを決めても、それが関係者の間で共有されていなければ機能しません。誰がどの段階で確認し、誰が決めるのかを事前に決めておきます。これにより、途中で新しい要望が出ても、その場の力関係や思いつきで方針が変わるのを防げます。

要件定義でつくる判断基準

「目的・対象・コンセプト・合意設計」は、Webリニューアルを進める初期の段階で決めておくことで、社内要望が増えたときに機能します。これらを要件定義としてまとめ、プロジェクト関係者間で共有できるツールにしておくと失敗を未然に防ぐことができます。

失敗しないための要件定義は以下のリンクで詳しく解説しています。

Webサイトリニューアルの失敗を防ぐにはのまとめ

Webリニューアルでは、営業・採用・総務など、社内のさまざまな部署から要望が出てきます。それぞれに理由があるため、基準を持たずに反映していくと、優先順位が崩れ、設計や進行にも影響が広がります。

こうした失敗を防ぐには、目的と成果、対象と優先順位、判断基準となるコンセプトを先に決め、関係者で合意しておくことが重要です。社内要望が増えても、その都度迷わず判断できる状態をつくっておくことが、リニューアルを安定して進めるための土台になります。

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