検索順位は落ちていない。それなのに、Webサイトからの問い合わせが以前より減っている。その原因は、AIによって「検索する人の行動」が変わったことにあるかもしれません。
今回は、SEOによる集客に依存していた架空のBtoB企業を例に、AI検索によって何が起きたのか、そして集客方法をどう見直したのかを紹介します。
Web担当者の発注前のお困りごと解決します。
検索順位を維持しているのに流入や問い合わせが減っているWeb担当者向けです。
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検索順位は落ちていない。それなのに、Webサイトからの問い合わせが以前より減っている。その原因は、AIによって「検索する人の行動」が変わったことにあるかもしれません。
今回は、SEOによる集客に依存していた架空のBtoB企業を例に、AI検索によって何が起きたのか、そして集客方法をどう見直したのかを紹介します。
これまでWebサイトから安定して問い合わせを獲得していたにもかかわらず、ある時期から問い合わせが減少。その原因を調べると、検索順位は維持しているのに、自然検索からの流入が減っていました。
今回は「株式会社K2エンジニアリング」という架空のBtoB企業をモデルケースとして、その失敗と改善までの流れを紹介します。
株式会社K2エンジニアリングは、法人向けに設備機器を販売するBtoB企業です。Webサイトでは長年SEOに取り組み、顧客が抱える課題や製品選定に関する解説記事を100本以上も公開しています。
これまで主要な記事の多くはGoogle検索で1〜5位に入り、月間の自然検索流入は約10,000件。その流入からサービス・製品ページへ誘導し、月30〜50件程度の問い合わせを獲得していました。
Webサイトからの問い合わせの多くを、この検索流入を起点とした導線が占めていました。
K2エンジニアリングでは、検索から安定して問い合わせを獲得できていたためSEOを中心とした集客を続けていました。検索順位やアクセス数も安定しており、SNSやメール、外部メディア、指名検索など、検索以外から顧客との接点をつくる施策には十分に取り組まず、SEOに偏った集客構造を長期間放置していました。
主要記事の検索順位は1〜5位を維持していました。しかし最近、何故か自然検索からの流入は徐々に減少し、それに伴って問い合わせも減少していきました。検索順位には大きな変化がないため、これまでの考え方だけではWebサイトへの流入減少の原因を説明できない状況が起きていました。
Googleは2024年からAI Overviewsを展開し、検索した内容に対する回答を検索結果の画面上に表示するようになりました。これにより、HowToや用語解説などの検索では、ユーザーが個別のWebサイトを訪問しなくても必要な情報を得られるケースが増えてきたのです。つまり「検索する → Webサイトをクリックして答えを探す」という行動そのものが変わり始めていたのです。
HowTo、FAQ、用語解説、比較・ランキングなどは、これまで検索流入を獲得するために有効なコンテンツでした。これらに共通するのは「検索した疑問に対する答えを提供する」ことです。AIがその役割を検索結果の画面上で担うようになれば、検索順位を維持していても、Webサイトを訪問する理由は弱くなります。検索流入の多くをこうしたコンテンツに依存しているWebサイトほど、AI検索による流入減少につながり、問い合わせ数にも影響するようになったのです。
AIによる回答が検索結果に表示されることで、検索上位に表示されていてもWebサイトがクリックされにくくなりました。
AI要約が表示される検索では通常リンクのクリック率が約8%、表示されない検索では約15%という調査結果もあります。また、検索1位のページでもクリック率が約34.5%低下し、条件によっては最大58%減少しています。つまり、検索順位を維持できていても、これまでと同じ流入数を維持できるとは限らなくなっています。
これまでのSEOでは、検索順位を上げることでWebサイトへの流入を増やすことができました。しかし、AIによる回答が検索結果の画面上に表示されることで、「検索する → Webサイトを訪問する」という流れ自体が変化しています。
K2エンジニアリングのWebサイトでも検索順位は維持していましたが、SEOに偏った集客戦略を続けていたため、この検索行動の変化が問い合わせ数の減少に直結しました。
Webサイトの情報がAIの回答(AI Overviews)に利用されるようになり、検索結果だけでユーザーの目的が完結するようになってきました。
そこでK2エンジニアリングのWebサイトを、単に検索キーワードへの回答を掲載するだけではなく、独自の調査データ、実績、事例、専門家による見解など、そのWebサイトでしか得られない情報を充実させました。また、AIが内容を理解・引用しやすいよう、ページごとのテーマをより明確にし、質問に対する結論やその根拠となる情報も掲載しました。つまり、「AIに情報源として選ばれること」と「引用された先を訪問する価値を作ること」の両方を意識したページ設計へと変えたのです。
AI検索が普及しても、検索エンジンからWebサイトへの流入がなくなるわけではありません。これまで検索流入を獲得してきたページについては、検索順位や流入状況を継続して確認し、検索意図に合わせた内容の更新、内部リンクの見直し、情報の追加など従来のSEO施策も継続しました。SEOをやめるのではなく、集客手段の一つとして維持・改善しながら、SEOへの依存度を下げていきます。
「設備機器 選び方」のような一般的なキーワードだけでなく、「K2エンジニアリング」と会社名を指定して検索してもらえる接点づくりを強化しました。展示会、営業活動、外部メディアなどで継続的に情報を発信し、会社名やサービス名を認知してもらう機会を増やします。検索順位だけに左右されず、「この会社について調べたい」と指名して検索される状態をつくることも、集客施策の一つとして取り組みました。
検索を経由せず、Webサイトを直接訪問してもらうための接点も強化しました。SNSやメールマガジン、名刺など、顧客との既存の接点からWebサイトへ誘導し、継続的に訪問してもらえる仕組みをつくります。一度接点を持ったユーザーとの関係を維持し、検索しなくてもWebサイトを訪れてもらえる状態をつくることで、検索流入への依存を下げました。
対策後も自然検索からの流入は以前の水準には戻らず、月間約10,000件から約6,300件まで減少した状態が続きました。一方で、AI検索からの参照、指名検索、直接訪問など、SEO以外を起点とした流入が増え、問い合わせ数は以前と同じ月30〜50件まで回復しました。
AI検索やメールマガジンなどから訪問するユーザーは、すでに課題や企業への関心を持っているケースも多く、問い合わせにつながるユーザーの割合が高まりました。
問い合わせにつながる経路もSEO中心から複数の経路へ分散し、検索環境の変化が問い合わせ数に直接影響しにくい集客構造へ変わりました。
検索順位を維持していても、AI検索によって検索行動が変われば、Webサイトへの流入や問い合わせは変化します。今回の失敗は、SEOで成果が出ていたがために集客構造を長期間見直さなかったことでした。
対策としては、SEOを継続しながらも、AIを考慮したページ設計、指名検索されるためのアプローチ、直接訪問されるための施策を組み合わせ、特定の流入経路に依存しない集客構造へ変えていくことが重要です。
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