本ページでは、UXを意思決定・情報構造・前提条件を含む思考フレームとして捉え、戦略・構造・表現・横断の四視点から、実務UXにおける判断軸の作り方と全体構造の分解・再設計方法を解説しています。
この記事で得られること
- UXを思考フレームとして捉えれる
- 思考フレームを用いてUXを設計できる
- 認識ズレを構造的に扱えるようになる
- プロジェクト全体を俯瞰して判断できる
WEB担当者の発注前のお困りごと解決します。
()

本ページでは、UXを意思決定・情報構造・前提条件を含む思考フレームとして捉え、戦略・構造・表現・横断の四視点から、実務UXにおける判断軸の作り方と全体構造の分解・再設計方法を解説しています。

Webリニューアル、そのまま進めて大丈夫ですか?
ウェブリニューアルや改修で「要件定義」に取り組む方へ。
UX分野では、ジェシー・ジェームス・ギャレットによる「UX 5段階モデル」が、思考フレームの一例として広く知られています。UXをレイヤーで捉えるという発想は、現在の実務においても多くのヒントを与えています。
私たちは実務において、さまざまな思考フレームを参考に四つの視点でUX設計に取り組んできました。UX設計シリーズでは、UXにおける四つの視点「四視点UX設計」をもとに、実務の中でどのようにUXを設計しているのかを解説していきます。
UXがUIと同列で語られる場面にしばしば出くわします。本来のUXは、目的や前提から設計すべきものですが、それがプロジェクトの後半でUIと合わせて話題に上りUXの本質を見えにくくしています。
UXという言葉は、専門領域によって対象が異なります。同じUXという言葉を使っていても、実際にはそれぞれが別のものを思い浮かべているかもしれません。会話は成立しているように見えても、実際はきちんと情報が共有されていないこともあります。このズレは合意形成の難しさとして、現場で問題になることがあります。
UXは、扱う対象の範囲が非常に広く、組織や人によって何を対象とするのかが変わることがあります。戦略から、画面設計、運用や改善まで、さまざまなフェーズでUXという言葉が使われることで焦点が定まりにくくなります。
その結果、UXという言葉が便利な包括語として扱われ、具体的に何を設計対象としているのかが曖昧なまま、議論が進んでしまいます。
感情や印象、使いやすさ、満足度など、さまざまな要素が「体験」という一言でまとめられることで、設計対象が明確にされないまま議論が進むことがあります。例えば、「体験を良くする」という目的は共有されていても、体験そのものの解釈の違いにより、UXの判断基準を設定することができなくなってしまいます。
また、これまでUXは本来IT分野に限った概念ではなく、人の行動や選択に関わる設計全般を指す言葉として使われてきました。現在は多くのモノ・コトがIT上で展開されているため、UXがIT用語のように語られる傾向が強くなっていることも、分かりにくくなっている一因です。
UXで設計するものは主に「意思決定」「導線」「前提条件」の3つで、これらは実務においては要件定義とも重なる重要な要素です。要件定義については、『要件定義における担当者の業務範囲』にてシリーズで5回に分けて記事を書いています。良ければそちらもご連ください。
UXにおける意思決定の設計とは、「ユーザーがどのような基準で選択し」「どのような情報をもとに行動を決めるのか」を設計することです。これは単なるボタン配置や画面構成の話ではなく、選択肢の出し方や情報の提示順、比較のしやすさなど、判断の条件そのものを設計することでもあります。
人がどう考えるかは、事前に用意された情報や選択肢の形によって大きく左右されます。UXでは「どう考えさせるか」「どの情報を根拠に決めさせるか」といった、意思決定プロセス全体が設計対象になります。
UXにおける導線の設計とは、ユーザーがどこから入り、どのような順序で情報に触れ、どこへ進んでいくのかを設計することです。これは単なる画面遷移の話ではなく、情報構造やコンテンツの配置、選択肢の並び方など、行動の流れそのものを設計することでもあります。
UXでは、個々の操作よりも「どんな流れで理解し、どんな経路をたどるか」といった全体のストーリーが設計対象になります。
UXにおける前提条件の設計とは、何を目的とし、どこまでを対象とし、どのような制約の中で設計するのかといった、プロジェクト全体の前提を明確にすることです。ユーザー像の設定や課題の定義、優先順位の決定など、個々の画面や導線に入る前の設計が含まれます。これらの前提条件が曖昧なまま進むと、どれだけ意思決定や導線を丁寧に設計しても、全体の方向性がブレてしまいます。
K2では、UXを「戦略」「構造」「表現」「横断」という四つの視点で捉え設計する方針を採用しており、これを『四視点UX設計』と定義しています。
前提条件を整理し、「なぜ」を繰り返しながら目的を明確に定義する視点。
情報構造や導線を設計し、どのように合意を形成していくかを整理する視点。
プロトタイプやデザインシステムを通じて、仕様を可視化・テストし、品質を維持する視点。
マクロ視点で、「戦略」「構造」「表現」が全体として機能し、運営できているかを評価する視点。
各視点の詳細については、今後それぞれ個別の記事として順次更新していきます。
四視点UX設計を用いることで、立場ごとに異なっていた評価基準を、同じ視点で整理できるようになります。現在どのレイヤーの話をしているのかが明確になるため、議論の前提が定まり合意形成を進めやすくなります。
「戦略」「構造」「表現」というレイヤーを意識することで、どこから設計を始めるべきかが見えやすくなります。まず目的や前提条件を確認し、その上で情報構造や導線を整理して、画面や機能の話に入る、といった設計の流れが自然と定まります。
その結果、思いつきや場当たり的な継ぎ足しではなく、全体の構造を踏まえた順序で設計を進められるようになります。
3つのレイヤーを意識することで、何を基準に見るべきか、評価の軸が見えてきます。実際の運用フェイズでの検証では、課題がデザインの問題なのか、導線の問題なのか、そもそもの目的設定の問題なのかを切り分けて考えられるようになります。
その結果、感覚的な良し悪しではなく、どのレイヤーで何が起きているのかをもとに評価できるため、改善の方向性を見つけやすくなります。
UXはしばしばUIと同列に扱われたり、専門領域ごとに意味が異なったりと、その対象や役割が曖昧なまま語られがちです。その結果、何を設計しているのか、どこで判断すべきなのかが見えにくくなり、議論や意思決定が感覚的になってしまいます。
K2では、UX設計を「戦略」「構造」「表現」「横断」という四つの視点で捉えた四視点UX設計を用いることで、設計の順序や判断軸、評価の視点を言語化し、立場の違いによるズレや迷いを構造的に扱えるようにしています。私たちは、UXを方法論としてではなく、思考と設計のフレームとして捉えることが、実務における本質だと考えています。